日本の心霊怪談では稲川淳二氏の語りや『怪談新耳袋』のように、霊の根源を暴かず、もちろん撃退することもなく、謎のままに終わるものが主流となっている。

だが、タイの心霊怪談は違った。タイ滞在中にとあるTV番組で心霊ドラマを観た。

現代が舞台なのであるが、突如お坊さんが現れ、霊を撃退するというものだった。

日本の心霊怪談に馴らされた筆者には違和感だけが残る。

そんな折、ホテルの近くにあるデパート・エンポリアムの6階 TCDCギャラリーで催されていた“Spirits: Creativities from beyond”を観る機会に恵まれた。

それは物質至上主義や合理主義によって失われた「信じる力」を呼び起こす奥深い催し物であった。

精霊(ピー)を具現化した作品の素晴らしさ、タイ人の『恐怖』感情の発露を作品を通して理解し、観光では味わえないタイ文化に触れられるのも一趣であった。

日本ではあまり馴染みのないお化けだからこそ、新しい感動を覚えるに違いない。

鑑賞後、ぼんやりとではあるが、前述のタイ心霊怪談を理解できたような気がした。

素晴らしきタイの妖怪たちをこの機会にご鑑賞あれ。

期間は8月20日~11月21日まで。

バンコクに行く機会のある方は是非足を運んでみてください。

場所:エンポリアム(BTSプロンポン駅2番出口に直結)の6階 TCDCギャラリー 入場無料

※漫画家・水木しげるの半生を描いた「ゲゲゲの女房」が視聴率20パーセントを越える昨今、にわかに妖怪ブームが再来!? した日本と同様に「見えない何かを信じる大切さ」は全世界共通認識であってほしいと願うばかりである。