前回「心理学に学ぶ恋愛テクニック(Vol.5)前篇」からの続き・・・

前回紹介した『中央収束理論』ですが、

どうすれば優位に立てるかの方法を説明する前に、
前回の冒頭にあげた「都合のいい体だけの関係」が、
どうして成り立ってしまうのかを検証してみましょう。

下記の会話は、
CさんはD君が好きで、体だけの関係を拒めないという設定です。

<電話での会話>

D君 「今から会いたいんだけど、うち来れる?」
Cさん「今日はこれから友達と会う約束してて・・・。明日じゃダメ?」
D君 「明日はバイト入ってるんだよね。じゃいいや」
Cさん「わかった。友達には明日にしてもらうよ。これから支度するから2時間後でもいいかな?」
D君 「いいよ。じゃあ待ってる。でもなるべく早く来てね」
Cさん「うん。わかった!」

<実際会って、D君の家でHを済ませたCさん>

Cさん「お腹空いたから、このあとどこかにご飯食べにいかない?」
D君 「悪いけどさっき先輩から急に呼び出しの電話があって、このあと出掛けないといけないんだよね」
    (↑電話の呼び出しは嘘)
Cさん「そうなんだ・・・でも今度はやるだけじゃなくて、どっか繁華街に行って一緒にご飯とか食べたいな」
D君 「でも俺も今忙しいから、そんなにゆっくり外でご飯とかできないかも・・・」
Cさん「じゃあ家の近くサクっと食べるだけでもいいから」
D君 「う~ん俺、今金欠だから、外食できるほど金ないよ」
Cさん「お金は私が出すから心配しなくていいよ」
D君 「だったら今度はうち来る前に近くのレストランで待ち合わせよっか」
Cさん「うん! じゃあ今度いつ会う?」
D君 「ちょっと今予定わからないから、また予定が空いたら連絡するよ」
Cさん「うん!連絡待ってるね!!」

上記の会話や態度で、完全にD君が優位で、Cさんが劣位なのがわかると思います。

では、CさんとD君が望む位置の、
どこで中央結束しているか検証してみましょう。

<検証1>
D君はCさんと「会いたい」のではなく、「やりたい」だけなのです。
しかし露骨に「やりたい」と言うと、Cさんの機嫌を損ねるかもしれないので、
言葉をオブラートに包んでいます。

<検証2>
D君と会いたいけれど、今日は先約が入っているので、できれば明日にしてほしいCさん。
しかしD君は明日なら「お前はもう用ナシだ」と言わんばかりの態度。
D君の機嫌を損ねて二度と会ってもらえなくなるのを恐れたCさんは、
友達の約束をキャンセルしてまでD君を優先します。

<検証3>
「今すぐうちに来てほしい」D君ですが、
物理的に2時間掛ると言われたら、そこは妥協して待っていようと思います。
それは、Cさんに代わる都合のいい女性が他にいないのか、
いたとしてもその女性に今日はNGを告げられたのか、
などの要因が挙げられます。
とにかくD君にとっては、2時間くらいならCさんを待ってもいいという程度の価値は、
Cさんに見出しています。

<検証4>
Hが終わったら、とっとと家から帰ってほしいD君。
しかし「もう目的達成したから、帰ってくれる?」とは正直に言えないD君。
そんなことを言えば、さすがのCさんも自分を嫌いになるだろうとわかっています。
そこで、Cさんが傷付かない嘘を考える配慮をします。

<検証5>
Cさんの本音は、「D君の彼女にしてほしい」です。
しかし自分から連絡してもいつも電話には出てもらえないし、メールも無視されます。
なので、D君が連絡をくれた時に、D君に予定を合わせて会うのが精一杯でした。
だけど、やはり体だけの関係には疑問を持ちます。
彼女にしてくれとは言えないけれど、少しくらい自分に好意を抱いているのか知りたいのです。
しかしストレートに聞くと、D君が離れていくような気がして怖い彼女は、
「体だけの関係じゃないよね?」という疑問を、
「一緒にご飯も行きたいな」という遠回しな表現でD君の顔色を窺い、
「体だけはイヤ」という自分の要求もアピールしました。
要するに、Cさんは、面と向かってストレートな発言をする欲求があってもできません。
しかしただ黙って全ての命令を聞くだけというわけでもありません。
遠回しな表現だったら、発言する自由までは認められているのです。

<検証6>
Cさんと一緒に食事するなど有り得ないと思っているD君と、
どうしても体だけの関係を打破したいCさん。
この二人の相反する欲求は、互いに妥協し合う形で、
「Cさんがお金を出すなら食事をしてもいい」という結論が出ました。
まさに中央で収束してますね。

<検証7>
「食事してもいい」というD君の答えを聞いて、勇気が湧いたCさんは、
次会える日を尋ねますが、D君はCさんに日にちを確定する主導権を与えるつもりはありません。
そしてCさんも、ここで言葉を濁すD君に対して、深く追及しようとは思いません。
そんなことをすればD君が逃げ腰になるのをわかっているから我慢したか、
連絡をもらえるだけで幸せなことだと、自分の欲求レベルを下げたかです。

このような関係は、CさんがどんなにD君の彼女になりたいと望んであがいたところで、
D君はCさんを「都合のいい女」としか見ていないわけですから、
残念ながら、その関係が覆されることはないのです。

そして主導権は常にD君にあるわけですから、
D君がCさんとの関係の距離を定めることができ、
それはすなわち、意のままにCさんを操ることが事ができるということです。

よく「惚れたもの負け」と言いますが、その通りなのです。

ですから、恋愛で勝利するには、
初期の段階で自分が優位になることが絶対条件になります。

では、どうすれば優位になれるのでしょう。

それは、本気で惚れこまないことです。

本気になると、周りが見えなくなります。
この状態は「麻薬中毒と同じ状態になる」とも言われています。

それほど通常の判断力や洞察力を鈍らせる恋愛の本気は、
相手も同じく本気モードにスイッチが入っていないと、
得てして玉砕します。

ですから、付き合いたい、本気にさせたい相手がいたら、
まずは自分の気持ちが熱くなりすぎないように気をつけましょう。

そして、自分の恋愛感情を中心にして行動をおこすのではなく、
相手と自分の関係と距離を正しく見極めて、どうすることによって、

・相手が喜ぶのか
・相手が悲しむのか
・相手が嫌がるのか
・相手が怒るのか
・相手が心細くなるのか
・相手が自分を頼ってくるのか、

など、相手の全ての感情と行動を冷静に分析してみましょう。
そうすることによって、相手よりも優位なスタートを切れるのです。

このテクニックは、使いこなせば相手の感情を自由自在にコントロールできるわけですから、
無敵と言ってもよいでしょう。

ですが、これを意識して完璧に使いこなせるとしたら、
それはもはや恋愛ではなくなっているのかもしれませんね。
一種の恋愛ゲームかもしれません。

それよりも、たとえ振り回されて劣勢な方にいようと、
このテクニックを使われている側の方が、
純粋に恋愛を謳歌できるのかもしれません。

とはいっても、そんな悠長なことも言ってられない!という人もいるのでは?!

例えば、結婚を成立したい人。

もしくは、「もう既に劣位になってしまってる!」という人は、
本当にこのまま恋愛が成就することはないのでしょうか?

これらの打開策は、次回に紹介します。

次回「心理学に学ぶ恋愛テクニック(Vol.5)後篇」へ続く・・・