聞いただけで、凄惨な現場を喚起させる踏み切り事故。
人体は破壊され、判別つかぬほどに損傷された遺体を想像すると寒気がする。
これは、そんな踏み切りで起こったお話。
蒸し暑い夏の夜、早足で通り過ぎた女性がいた。
後姿を見ている限りだと、かなり美人に見える。
Aさんは女性の後姿を見ながら、是非顔をみてみたいと思った。
いきなり女性を追い越して振り向くのも抵抗がある。これは通常の男の癖なので見逃してもらいたい。
すると、運のいいことに女性はAさんを追い越してから10m先で突然止まりだした。
これは良い機会だ。Aさんは早足で女性を追い越し後ろを振り返った。
「あ! 」
Aさんは氷ついた。女性の顔が右半分、大根おろしで削ったように、荒く削ぎ落とされ右目の玉が
鼻のあたりにブラーンと垂れ下がっている。
直視できず視点を移すとと、Aさんは踏み切りの真ん中にいることに気がついた。そして前方にも同じ女が。
遮断機は下りている。電車の近づく音も聞こえてきた。
踏切内で立ち往生するAさん。女は不気味に笑っている。
Aさんは気を失いその場に倒れた。
気がつくと、Aさんは病院にいた。そこには看護婦と一緒に2人の警察官の姿もあった。そして会話が聞こえた。
「毎年同じ日に、こんなことが続くと本当に気味悪いな。市にかけあってお払いでもしてもらうか」