7時間の旅行に心底疲れたB子さんは、ベットに入るなり倒れた。
どれぐらい寝たのであろうか、気がついたらあたりは真っ暗に。
しばらく薄暗い部屋をぼんやり眺めていると、冷蔵庫のそばに
丸い塊をみつけた。
「何だろうと思っていたら、それが動き出したんです。びっくりして声もでませんでした。
するとそれがだんだん近づいてきて、『hello!」』って言ったんですよ」
それは例のラブレターの主だった。慌てて部屋を飛び出し、フロントに助けを求めた。
「There is someone strange man.please help me」(人がいる、助けて:B子)
「Where is your husband? You left him?」(旦那さんはどこですか? おいてきたんですか?:フロント)
「Husband? I checked in alone.I have no company」(旦那? 私はひとりよ)
「It must be your husband.I saw both of you when you checked in.Here is your husband sign!」(いいえ、2人でチェックインしたのを私はみてます。ほら、ここにサインもありますよ)
B子さんは気持ちが悪くなった。英語のせいにもしたかった。上手く通じてないから、相手も
変なこと言っているんじゃないかと。それか、日本人なんてみんな同じ顔しているし、どこかの夫婦と勘違いしたんじゃないかと考えた。
そして、事を追求するのをやめ、部屋に戻った。
もちろん、そこには例の男はいなかった。でも、私の旅行日程が書いてあるメールのプリントアウトが布団の上にあった。