元NHKアナウンサーの堀潤が12月1日、東京・新宿で原発取材をまとめた著書「変身 Metamorphosis メルトダウン後の世界」(1470円)の発売を記念し、映画監督の岩井俊二と対談した。堀さんは「エネルギーの問題に対してタブー感がある、そして情報に対して疑心暗鬼になっている社会状況で、このまま原発問題と向き合っていって良いのだろうか」と投げかけた。

「変身 Metamorphosis メルトダウン後の世界」は、ドキュメンタリー映画「変身 Metamorphosis」を書籍化したノンフィクション単行本。堀が、NHKを退社するきっかけとなった、アメリカ・スリーマイル、サンタスザーナや、日本の福島とメルトダウンがあった地域を訪れた映像は衝撃的な内容だ。

この日、取材当時に籍を置いていたNHKに、上映禁止を言い渡されていた映像を上映した堀。岩井は「長いものに巻かれないようにするのは大変だったでしょ」とねぎらい、「自民党が大勝したころから違う国に住んでいるような違和感を覚える」と自論を展開した。

これに同調した堀は、「無頓着が一番怖い。物ごとが決まっていくまでの仕組みや、どういった人々が関わっていて、その当初の理念や目的は何なのかということを注意深く普段から見ておく癖をつけることが大事」と話した。

また終盤には、元原発作業員の林哲哉も登場。東京電力から現場作業を請け負う会社の間に6つもの下請け業者がある現状や、賃金の規定がきちんと定まっていないことなど、原発作業員の劣悪な労働環境について明かした。