Bさんは単独で取材に向かった。
女性の幽霊が出るというありきたりの場所だが、自宅から近いということで決めたという。
連日連夜の徹夜による疲労がピークに達していたので、Bさんにとって好都合だった。
そして場所に着くなり写真を撮った。「早く切り上げよう」そんなことしか考えていなかったその瞬間、ゾッとするような寒気に襲われた。
案の定、写真をその場で確認してみると、いるはずもない女性が写っていたという。
怖くなったBさんはその場で消去し、逃げるように立ち去った。
話を終えた後、Bさんは隣にいるはずもない人に
話しかけるように口を開いた。
「ぼくは、その日から彼女と同棲しているんですよ。あなたに彼女は見えますか。美人でしょ。
でも、もう別れたい。疲れた」
薄ら笑いを浮かべるBさんに恐怖を覚え、喫茶店を飛び出した。
そして窓際のBさんを見ると、隣に座るこの世のものとは思えない女を確認した。
Bさんは、外にいる私を見つけると苦しそうな顔でこちらを見ている。
と同時に、隣に座る不気味な女がBさんの首を絞めていた。物すごい形相で……
それから、1週間後Bさんが喫茶店で急死したという訃報を聞いた。
死んだ日はBさんと会った日でもあった。