「この間、頭を洗ってるときに起きたんです」
話してくれたのはデザイン会社勤務のB子さん。ニット帽が似合う
かなりの美人さんだ。連日の徹夜作業が続き、頭が異様にかゆかったという。
「ふけがでてました。金田一探偵みたくね」
美人の外見からそぐわない言葉にドキリとした。
「さっそく、頭を洗ったんです。気持ちいい! 思わず声をあげてしまいました。
その瞬間、ぞーっとしたんです」
もちろん目をつぶっていたので周囲の状況も分からず、
そのまま洗い続けた。すると今度は耳鳴りがしたという。
「ガーーーーーーーンという物すごい音でした。恐くなって目を開けちゃったんです。
シャンプーが目に入って痛かった。それよりも、恐いものを見ちゃったんです」
なんと目の前に、いるはずのない男が全裸で立っていたという。それもションベン小僧のように。
「ぎゃーと叫びました。すると男は消え、黄色い液体が頭からしたたり落ちてきました。え!
すぐにシャワーを全開にして頭を何度も何度も洗いました」
そして彼女はニット帽を脱ぎ、金髪というよりはヤンキーが脱色に失敗したような
髪を私に見せてくれた。B子さんは髪を恨めしくいじりながら
「その日以来、こんな色になっちゃったんです。これって、しょんべんの色ですよね」
とつぶいやいた。