「合コンでこんな怖い思いするなんて」

目を伏せながら、怯えるような声で話すC子さん。

10年以上前、深夜、2時ぐらいに呼ばれて向かった合コン先での話である。

「こんな時間に出て行くなんて、おかしいですよね。でも行ってよかったなと

最初は思ったんです」

照れながらその場所にC子さん好みのマッチョな男がいったという。

「着くなりみんなへべれけで、私が来たというのにかまわず酔いつぶれていたんです。

参加している男性も私のお気に入り以外は完全につぶれていて挨拶もして

くれませんでした。でも彼だけはシラフだったんです。さすがマッチョだなと」

C子さんのお目当ては彼だけだったので、気にせず2人仲良くかんぱーいってな感じで

盛り上がったそうだ。それから2時間ぐらいして閉店時間のためお店を追い出された。

「感じも良かったし持ち帰られちゃおう」と心に決めていたC子さん。

だが、友達の一人が突然「あんた、さっきから誰としゃべってるの?」と聞いてきた。

びっくりしたC子さんはマッチョの顔みた。

「あ! 私の酔いが一気に冷めたんです。彼、パネルだったんですよ。店から持ってきた実物大のパネル」

C子さんはマッチョが合コンに参加していたか確認するとそんな人はいないとキッパリ否定したという。

気味が悪くなったC子さん。だが窃盗は窃盗なので、とりあえずパネルを返しに戻った。

すると店員さんが「あら、帰ってきちゃいましたね、店長」

訝しげな顔でC子を見る店員。

「すみません、酔って持ってきてしまいました」

すると店員は

「それあげます、プロレスファンのお客さんが置いていったものだから」

とニッコリ微笑んだ。そして恐ろしいことをC子に告げた。

「そのレスラー先月、この店で死んだんですよ。お客さんと喧嘩して。それも女性とですよ」